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C型慢性肝炎における肝脂肪化の有無による発癌率
及び発癌時の病理学的検討

金守良

【目的】C型慢性肝炎の組織学的特徴として脂肪化があげられている。(Hepatology. Sheur et al 1992)トランスジェニックマウスを用いた小池らの研究ではHCVコア蛋白が核に取り込まれた後、脂肪化を経由して肝発癌がみられている。今回我々はC型慢性肝炎において肝脂肪化の有無による肝癌発癌率及び発癌時の病理所見を検討した。
【対象と方法】対象は1988年4月から2001年4月までに肝生検を行い経過観察を行なったC型慢性肝炎184例である。(男101名、女83名)IFN投与症例は117例、うち血中のHCV-RNAの消失による効果判定では、完全著効(CR )29例、一過性有効(PR)62例、無効(NR)23例、判定不能3例であった。肝生検にて小葉に10%以上の脂肪化を認める症例を(+)群、それ以外のものを(−)群とした。肝癌の診断は画像診断又は肝生検によって行なった。またStage分類は、新犬山分類に基づいた。
【結果】(+)群は43例(男20例、女23例)、(−)群は141例 (男81例、女60例) で184例中19例に発癌がみられた。(+)群の発癌率は1/43(2.3%)、(−)群の発癌率は18/141(12.8%)。発癌までの期間は(+)群で8ヶ月、(−)群は、0から111ヶ月(平均36.5±34.5ヶ月)であった。(+)群のStage分類はF0:1例、F1:24例、F2:6例、F3:12例(−)群ではF0:7例、F1:97例、F2:12例、F3:25例であった。(+)群でIFN投与症例は、32例、(CR:8例、PR:21例、NR:3例)、(−)群でIFN投与症例は85例(CR:21例、PR:41例、NR:20例)であった。発癌を肝生検により確認できたのは15例で癌結節内脂肪化(nf)を認めたのは4例であった。(+)群の1例は高分化型癌(nfは1/1)、(−)群では14例で、高分化型8例(nfは3/8)、高・中分化型2例(nfは0/2)、中分化型4例(nfは0/4)であった。【結語】慢性肝炎からの肝発癌率は(+)群が(−)群に比較し有意に低かった(p<0.05)。その理由は不明だが、性別、線維化のStage、IFN投与による治療効果による差はみられなかった。脂肪化(−)群発癌時の肝癌の病理学的検討により慢性肝炎の肝脂肪化がすなわち肝癌に進展するのではないことが示唆された。
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