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B型肝炎の治療

B型肝炎の治療を考えるとき、C型肝炎の治療に比較すると、その複雑さ、難しさがわかりやすいと思います。
C型肝炎の治療の目的は「ウイルスを駆除すること」、そして「肝癌の発生を抑える」ことと極めて明確です。ところがB型肝炎の場合は、ウイルスを駆除することは不可能で、その目的は「ウイルスの活動性を沈静化させること」になります。しかし短期的に沈静化ができても長期間継続して沈静化することは容易ではなく、また肝癌の発生の抑制も簡単ではありません。
薬剤の選択は、B型肝炎の場合、インターフェロンかエンテカビル、テノホビルなどの核酸アナログ製剤の選択が要求されます。
B型肝炎の場合は、臨床像が複雑です。C型肝炎とは違って比較的安定していたウイルス保持者(キャリア)がいきなり重症化したり、若年者に肝癌の発生(C型肝炎では若年者の肝癌の発生は極めて稀です)がみられたりするからです。一言でいってB型肝炎の治療はまさに肝臓専門医の力量が要求される領域です。

B型肝炎治療の目標は活動性のB型肝炎を非活動的な状態にもちこむことです。具体的には肝機能とウイルスマーカーの改善と、肝硬変、肝癌の阻止ということになります。活動性のB型肝炎の場合にはHBe抗原陽性の場合が多いのですが、セロコンバージョンが治療効果の最大の目標です。その次にHBe抗原陽性からHBe抗体陽性にならなくてもHBe抗原陽性が陰性化することをセロネガティブといい、セロコンバージョンしない場合の目標となります。

目標1:HBe抗原陽性から HBe抗原陰性 かつ HBe抗体陽性になる・・・セロコンバージョン
目標2:HBe抗原陽性から HBe抗原陰性 になる・・・セロネガティブ

 

また、治療効果の判定にはHBV DNA量(ウイルス量)の低下が重要な指標となります。HBe抗原陽性でウイルス量が4Logコピー/ml以下、HBe抗体陽性又はHBc抗体陽性で5Logコピー/ml以下の場合には、B型肝炎は非活動的な状態と考えてよいでしょう。また活動性のB型慢性肝炎から肝硬変への阻止することが重要であると述べましたが、治療にあたっては、患者の年齢やウイルス量と肝生検組織による線維化の程度、すなわちstaging分類 (F1~F4まで、F4が肝硬変) が大変重要です。

B型慢性肝炎の抗ウイルス療法の基本

  • ペグインターフェロン
    48週投与を基本とし、HBe抗原陽性、陰性にかかわらず、HBVDNA量が4Logコピー/ml以上でALT値 31IU/L以上を呈する症例をその適応とします。
  • 核酸アナログ製剤
    Lamivudine(ラミブジン)は耐性株出現頻度が高く、Adefovir(アデホビル)は単独投与では耐性株と腎障害の点から第一選択の薬剤となりません。
    効果と副作用の面から第一選択はEntecavir(エンテカビル)またはTenofovir DF(テノホビル)です。
  • 耐性株への対応
    ラミブジン耐性あるいは、ラミブジン+アデホビル投与例は、テノホビルに切り替えます。テノホビルで不十分ならアデホビル、エンテカビルを加えます。
    エンテカビル耐性例は稀ですが、耐性株出現時はテノホビルあるいはエンテカビル+テノホビルに切り替えます。
    テノホビルは投与開始5年までは耐性株出現の報告はありませんが、もし耐性株が出現すればETVを加えます。
  • 免疫抑制剤・化学療法により発症するB型肝炎対策
    HBV DNA量が低値・ALT値が正常であっても免疫抑制剤や抗がん剤投与時には、HBV DNA量が上昇して重度の肝障害を来すことがあるため注意が必要です。
    HBs抗原が陰性でもHBc抗体またはHBs抗体陽性の方に免疫抑制剤や抗がん剤投与中、あるいは投与終了後にHBV DNAが上昇して重度の肝障害を来すことがあるため、経時的にHBV DNA量を測定し、HBV DNAが陽性化した時には核酸アナログ製剤を早期に使用します。
Point!
B型肝炎の病態は複雑で、急な増悪がみられることもありますので、治療については専門医による管理が重要です。当院は肝臓指導医が2名在籍しています。B型肝炎の治療について、ご不明な点がございましたらお気軽にご相談下さい。

 

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