C型慢性肝炎の薬物治療は、その目的によって大きく2つに分けられます。ひとつは、肝臓を保護して病気が進むのを抑える治療(対症療法)、もうひとつは、肝臓病の原因の1つである肝炎ウィルスを体内から排除することを狙ったインターフェロン(IFN)療法(原因療法)です。 【肝庇護療法(対症療法)とは】
⇒内服薬 ⇒注射薬 肝臓を保護する治療は肝硬変や肝癌へ進むことを遅らせる目的で行われ、炎症を抑え、肝細胞の破壊を防ぐ薬が用いられます。肝硬変や肝癌は、肝細胞が繰り返し壊されることや、線維化が進むために起こるので、肝細胞が壊されるのを薬で抑えれば、肝硬変への進展を遅らせ、肝癌ができる確率を減らすことが期待できます。 内服薬(飲み薬)では次のような種類があります。これらを症状により組み合わせて使用します。
- グリチルリチン製剤 (商品名 グリチロンなど)
肝臓の表面を覆う細胞膜を強くし、肝細胞が壊れないようにする作用と、肝細胞の修復を助けるはたらきがあります。
- 小柴胡湯
肝臓の細胞膜をつよくする作用と、炎症を抑える作用があり、肝細胞が壊れるのを防ぎます。 - ウルソデオキシコール酸 (商品名 ウルソなど)
胆汁の分泌をうながす作用があり、胆石を溶かします。また、肝臓内の血流を促進、肝細胞の保護などの作用があります。 肝臓加水分解物 (商品名 プロへパールなど)
肝臓の血流をよくし、肝臓の働きを改善します。 - グルタチオン (商品名 グルタイドなど)
肝臓の働きを助け、代謝障害を改善します。
- ポリエンホスファチジルコリン (商品名 EPLなど)
肝臓の働きをよくしたり、コレステロールの排泄を促進します。
注射薬では次のような薬があり、入院中に使用したり、定期的に外来治療で使用したりします。
- グリチルリチン製剤 (商品名 強力ネオミノファーゲンなど)
内服薬グリチロンと同様のグリチルリチン製剤です。肝臓の表面を覆う細胞膜を強くし、肝細胞が壊れないようにする働きと、肝細胞の修復を助ける働きがあります。
- グルタチオン製剤 (商品名 グルタチンなど)
内服薬グルタイドと同様の成分の注射薬です。肝臓の働きを助け、代謝障害を改善に働きます。
- 肝臓抽出製剤 (商品名 アデラビン9号など)
ビタミンB2と肝臓抽出成分の入った注射薬です。肝臓の代謝機能を高めたり、肝細胞機能の再生、修復を促すことにより、肝機能を改善する働きがあります。
GOT(AST)、GPT(ALT)値という数値が肝機能の検査として知られています。この検査は肝臓の細胞に多く含まれる代謝酵素です。炎症などで肝臓の細胞が壊れると血液中に流れ出して血液中の値が高くなるので、肝臓の細胞がどの程度壊れているかの目安になります。この値をできるだけ低い値にすることが重要であるとされています。GOT、GPT値を確実に下げることがわかっている製剤はグリチルリチン配合剤とウルソデオキシコール酸の2つです。これらは、肝炎の鎮静化を目的としたものでウィルスを排除する効果はないので、ウィルスを排除できる可能性のある患者さんでは、次に述べるインターフェロン療法(原因療法)をおすすめします。
逆に、インターフェロン療法を行なったものの、うまくウィルスを排除できなかった方でもインターフェロン治療中は肝炎は沈静化している場合があります。そのような方には、肝炎の沈静化を目的に少量のインターフェロンを長期に使う場合も出てきています。
【インターフェロン療法(原因療法)とは】 ⇒インターフェロン療法の目的は?
⇒インターフェロンって一体なに? ⇒誰でも出来るの?
⇒注意点は?
⇒インターフェロン(IFN)療法の進歩
⇒たくさんの種類の中からどう決めるの?
⇒たくさんの種類のインターフェロンはどう違うの?
⇒ペグインターフェロンって何? ⇒自己注射とは?
⇒インターフェロン療法の費用は? ⇒C型肝炎ウィルスの型
⇒インターフェロンの効果 ⇒ペグIFN単独時の効果は?
⇒インターフェロンの副作用は? ⇒副作用について知っておいていただきたいこと
インターフェロン療法の目的は? ・ウィルスを排除すること
・GOT、GPT値が改善する(肝障害が落ち着く)こと ・肝臓の線維化を改善する(肝がんへの進行を遅らせる)効果を期待すること インターフェロンって一体なに? インターフェロンとは、ウィルスに感染した時に私たちの体内で作られ、分泌されるタンパク質(サイトカイン)で、ウィルスの遺伝子を切断したり、タンパクが作られないようにして、ウィルスが増えるのを抑える抗ウィルス作用を持っています。このほか、細胞増殖抑制作用、抗腫瘍効果、免疫調節作用、細胞分化誘導作用などの生物活性が知られています。しかし、C型肝炎のように感染が持続しやすいウィルスに対しては、体内で作られるインターフェロンではウィルスを排除できません。そこで、インターフェロンを注射で補ってウィルスを排除しようとするのが、インターフェロン療法です。現在のところ、ウィルスを排除できるのはインターフェロンのみです。
インターフェロン製剤にはα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)の3種類あり、C型肝炎の治療には、インターフェロンαとβが使われます。
誰でも出来るの? インターフェロン療法の対象となる患者さんは、原則的には、年齢が70歳以下のC型慢性肝炎の方です。また、精神疾患や重症のうつ病、コントロールできていないてんかんの症状のある方はインターフェロン療法により病状がひどくなる可能性があるため、行わない方がいいとされています。さらに、コントロールできていない糖尿病や高血圧、網膜症、循環器・腎機能障害のある方、自己免疫性疾患のある方は、特に医師と相談する必要があると思われます。そして、白血球(特に好中球)、血小板の減少している方、貧血の方は、検査値が基準値以下の場合には、使用できない場合もあります。高齢者は他の方以上に治療に注意が必要となります。ただ、患者さんの病状はそれぞれ異なるので、病状によってはインターフェロン療法が可能な場合もありますので、詳しくは主治医とご相談ください。
また、患者さんにより感染しているウィルスの種類や量が異なるため、まずどのような状況かを血液検査で確認します。保険で承認されている治療法の中から、治療強度、治療費用、治療期間、治療頻度、副作用などを考え、その患者さんにあった治療を行なっていくことになります。
注意点は? インターフェロン投与によりまれに間質性肺炎がおこることがあります。特に、肝臓を保護する漢方薬である小柴胡湯を併用すると、間質性肺炎を起こしやすいといわれています。どんな病気でもそうですが、服用されている薬があれば、インターフェロン治療の場合は、特に小柴胡湯を服用されている方は治療を受ける前に医師に必ず伝えてください。
副作用も多く、治療費も高価になり、治療期間も長期にわたることが多い治療です。C型慢性肝炎の患者さんでは、治療前には肝炎による症状はほとんど見られません。それがIFN治療を始めることで副作用がおこり、かえって病気がひどくなったという印象を受けられてしまう患者さん、その周囲の方もいらっしゃいます。治療前に、治療の必要性、目的、費用、期間、効果、副作用など主治医にしっかり聞き、周囲の方も含め理解して納得していただいたうえで、治療を始める事が大事と思います。
インターフェロン(IFN)療法の進歩 インターフェロン(IFN)と一口に言っても実はいろいろあります。しかも一昔前に比べるとかなり種類も増え、治療効果も高くなり、選択肢も増えてうれしい反面、少し複雑にもなっています。しかし、インターフェロン治療を前にして、だめだったからもうしないというのではない時代に来ています。どのように変わってきたのか見てみましょう。
| 1989年(平成1年) | C型肝炎ウィルスの一部のゲノムがクローニング
される | | 1992年(平成4年) | C型慢性活動性肝炎に対しIFN療法保険適用 |
| 1997年(平成9年) | C型慢性非活動性肝炎に対しIFN療法保険適用 |
| 2000年(平成12年) | C型慢性肝炎に対するIFN再投与が保険適用 |
| 2001年(平成13年)12月 |
イントロンAとレベトール (リバビリン)併用療法保険適用 アドバフェロン(コンセンサスインターフェロン) 保険適用 |
| 2002年(平成14年)2月 | 投与期間・再投与回数の制限撤廃
24週以上の治療が可能に (レベトール (リバビリン)併用は制限あり) | |
2003年(平成15年)12月 | ペガシス保険適用 |
| 2004年(平成16年)10月
| イントロンAとレベトール併用療法48週
保険適用(1型高ウィルス量のみ) | |
2004年(平成16年)12月 | ペグイントロンとレベトール併用療法48週
保険適用(1型高ウィルス量のみ) | |
2005年(平成17年)4月 | 一部のインターフェロン製剤で自己注射が
保険適用 ペグ(週1回)製剤、レベトール (リバビリン)併用の場合は除く | |
2005年(平成17年)12月 | ペグイントロンとレベトール併用療法の適応
拡大 2型高ウイルス量(初回のみ)、1型、2型の低ウィルス量の再治療に対し 24週治療が可能に | | 2006年(平成18年)4月 | C型代償性肝硬変に対しIFNβ(フェロン)が保険適用(HCVセログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く) |
最近のIFN治療は数年前に比べ、多くの新しい治療法が承認され、選択肢もかなり増えました。繰り返しになりますが、昔一度IFN治療を行い、うまくいかなかった方も、再治療を行った結果うまくいった方もいます。一度したからとあきらめずまた挑戦していただく価値はあると思います。いつどのような治療をしたかを覚えている方は、その治療よりさらに強力な治療法が新たに出ていれば、肝臓専門の医師の診察を是非受けてみてください。 治療の進歩に基づく治療効果(IFNの効きにくい1型高ウィルス量) たくさんの種類の中からどう決めるの?
現在、厚生労働省からこのようなウィルスの型でこのような量の方にはこのような治療がというガイドラインが発表されています。当院でもこのガイドラインに基づいて治療を行なっています。
初回治療の方(今までにインターフェロンを全く受けられていない方)
| ウイルス量
| セロタイプ 1 | セロタイプ 2 |
高ウイルス量 100以上
| ペグイントロンまたはイントロンA +レベトール(48週)
| ペグイントロンまたはイントロンA+レベトール(24週) |
低ウイルス量 100以下
| IFN単独療法(24週) ペガシス( 24〜48週) |
IFN単独療法(8〜24週) ペガシス( 24〜 48週) | 1.初回投与の高ウイルス量症例、再投与例の治療目的の治療はインターフェロンとリバビリンの併用療法が治療の基本です。 2.初回投与例でジェノタイプ1b、HCV量が中等度(100-500KIU/ml、300-2400fmol/l)症例はペガシス(48週間)も考慮します。 3.初回投与例でペグイントロン+レベトール非適応例の治療目的は、ジェノタイプ1でIFN長期(2年間)、ジェノタイプ2でIFN(24-48週間)とする。
再治療の方(過去に1度でもインターフェロン治療を行なった方)
| ウイルス量 | セロタイプ 1 | セロタイプ 2 |
高ウイルス量 100以上
| ペグイントロンまたはイントロンA+レベトール(48週)
|
ペグイントロンまたはイントロンA +レベトール(24週) | 低ウィルス量
100以下 |
ペグイントロンまたはイントロンA +レベトール(24週) | 1.再投与例でペグイントロン+レベトール非適応症例は、ペガシス(48週間)またはIFN長期(2年間)とします 2.インターフェロン治療中にHCV-RNAの陰性化が得られない症例では、肝機能正常化または発がん予防を目指した治療も検討します ウィルス量の単位はKIU/mlであり、オリジナル法で記載。平成17年度 厚生労働省 B型及びC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化に関する臨床研究より改変) たくさんの種類のインターフェロンはどう違うの? それぞれのインターフェロンについて簡単に解説してます。また最後のほうには細かい違いを比べやすいように表にまとめています。
| インターフェロンα、α-2a、α-2b(商品名:スミフェロン、イントロンAなど) |
| 投与方法 | 筋肉注射 |
| 当院での使用法 | 最初の4週間は毎日、その後週3回に変わります。 |
| | インターフェロンαは天然型、α-2a、α-2bは遺伝子組み換えです。インターフェロンα-2bのみリバビリン(レベトール)と併用できます。 |
| |
| コンセンサスインターフェロン(C-IFN、インターフェロンアルファコンー1)(商品名:アドバフェロン) |
| 投与方法 | 皮下注射 |
| どんな薬 | 現在知られているインターフェロンαのサブタイプのアミノ酸配列中で最も頻繁に観察されるアミノ残基からそのアミノ酸配列を決定してデザインし、その共通(コンセンサス)配列をもとに遺伝子組み替え技術を用いて作り上げたものです。従来のIFN-αより5倍のウイルスに対する活性が認められるそうです。溶解不要の液剤で、液量も少ない皮下注射剤です。人血清由来のアルブミンが添加されていない初めてのインターフェロン製剤です。平成13年12月に保険承認されています。 |
| 当院での使用法 | 最初の4週間は毎日、その後週3回に変わります。 |
対象となる 患者さん | ウィルス量のやや多いタイプの患者さんに有効とされています。 |
| インターフェロンβ(商品名:フェロン、IFNβモチダ) |
| 投与方法 | 点滴静注、静注 |
| 当院での使用法 | インターフェロンαと組み合わせて4〜8週間毎日点滴します。 |
| リバビリン(商品名:レベトール) | | 投与方法 | 内服 |
| どんな薬 | 核酸誘導体(分子量244のプリンヌクレオシド類似体)で、DNAウイルスやRNAウイルスに広く抗ウイルス効果(増殖を阻害)が見られています。しかし、C型肝炎に関しては、単独投与ではインターフェロンに比べて抗ウイルス効果は弱いため、単独での使用は認められていません。直接ウィルスを攻撃するというより、むしろ免疫を活性化することによって、ウィルス排除に働くと考えられています。 |
| 使用法 | 現在はインターフェロンα-2b製剤とのみ併用が認められています。体重に応じて毎日3〜4カプセル(600〜800mg)を朝食後と夕食後の2回に分けて服用します。
対象となる患者さん ・・・・・ 初めて治療を受けられる方ではウィルス量の多い場合(従来のインターフェロンのみでは効果が得にくい方)、一度インターフェロン療法を受けた方では、肝炎が治っていない場合に、この療法の対象となります。 |
| 注意点 | 副作用として溶血性貧血が比較的高い頻度で発生します。貧血の指標となるHb(ヘモグロビン)値が8.5
g/dl以下になった場合は併用できない場合もあります。このほか、リバビリンは精子の催奇形性、高尿酸血症、発疹、筋肉痛などの副作用も報告されています。また、脳出血の副作用も報道されています(詳しくは後の方で)。動物実験で奇形の報告があるため、妊娠中、妊娠の可能性のある女性は使用できません。男性の方も服用中、服用後6ヶ月は確実に避妊できる手段を取ってください。 |
2つのペグインターフェロンの違いを表にまとめています。2006年9月30日現在
|
| ペガシス | ペグイントロン |
| 発売会社 | 中外製薬 | シェリングプラウ |
| 発売年月 | 2003年12月 | 2004年12月 |
| PEG分子量 | 40kD | 12kD |
| PEGの型 | 分枝メトキシポリエチレングリコール | メトキシポリエチレングリコール |
| 投与量 | 固定 | 体重でスライド |
| 最高血中濃度になるまでの時間 | 80-100時間 | 15-44時間 |
| 半減期 | 77-100時間 | 30-60時間 |
| 消失時間 | 4-8週 | 10-14日 |
| 代謝経路 | 肝臓 | 腎臓 |
| レベトールとの併用 | × | ○ |
ペグインターフェロンって何?
ペグ化という加工をされたインターフェロンのことです。 まずペグ(PEG)とは、合成高分子ポリエチレングリコール(Polyethylene
Glycol)の略です。もちろん毒性などの悪影響を及ぼさないものです。食品添加物などに使われることもあるそうです。 ペグ化とは、このペグをインターフェロンなどのたんぱく質に結合(修飾)させることをさします。このペグ化を行うことで、もとのたんぱく質の体の中での動きが変わります。
それではどのように変わるのでしょう。インターフェロンがペグ化を受けると持続性が大幅に延長します。これはインターフェロンを分解する酵素が働きにくくなり、分解されにくくなる、体の中への吸収がゆっくりになる、体の外にでにくくなるなどの変化が起こったためです。
インターフェロン | ペグインターフェロン |
 |  |
半減期が短いため少なくとも週3回の投与が必要。 IFNの血中濃度が上昇下降を繰り返すため、発熱、悪寒等の副作用が起こりやすい
| IFNをより長く血中に留まらせることにより効果が持続して増強される。 副作用の軽減が期待できる。週1回の投与が可能になった。 |
気になる薬の値段は?作ってる会社は?自己注できるの?などなど ・・・気になる点をまとめてみました。
| 商品名 | レベトール | スミフェロン(DS) | OIF(オーアイエフ) | イントロンA | アドバフェロン | ペガシス | ペグイントロン | フェロン | IFNβモチダ |
| 一般名 | リバビリン | インター
フェロン α (NAMA LWA) | インター フェロン α (BALL-1) | インター
フェロン α‐2b | インター フェロン α‐コン1 | ペグイン
ターフェ ロン α‐2a | ペグイン ターフェ ロン α‐2b | インター
フェロン β | | 分類 | 天然I型FNα | 組換えIFNα | 遺伝子組換え IFNα | ペグ化組換えIFNα | IFNβ |
| 投与経路 | 内服 | 筋肉注射・皮下注射 | 筋肉注射 | 筋肉注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | 皮下注射 | 静脈注射・点滴注射 |
| 薬価(円) | 806 | 7,780〜
22,640 | 7,491〜 28,128 | 5,101〜
16,091 | 9,255〜 17,613 | 14,592〜
28,438 | 15,863〜 46,002 | 6,509〜
50,307 | | 発売会社 | シェリングプラウ | 大日本住友 | 大塚 | シェリングプラウ | アステラス | 中外 | シェリングプラウ | 第一 | 持田 |
| レベトール併用 | × | × | ○ | × | × | ○ | × | × |
| 自己注射 | ○ | ○ | △(単独時のみ) | ○ | × | × | × | × |
*表中の薬価は2006年9月30日現在のものです。
自己注射とは?
必要な本数のインターフェロンを自宅に持ち帰っていただき、ご自宅などで患者様ご自身に注射していただくことです。メリットとしては好きな時間に注射できること、たとえば寝る前に注射することで寝ている間に副作用をやりすごすなどもできます。通院にかかる時間などを少なくもできます。デメリットとしては操作方法に慣れるまですこしだけ時間がかかることでしょうか。自己注射はそれほどまれなことではなく、糖尿病の方のインスリン注射も自己注射が認められています。インターフェロンの自己注射も他の一部の疾患では今までも認められていました。C型慢性肝炎に対するインターフェロンの自己注射は、2005年4月27日より保険適用になりました。一部のインターフェロン治療で可能なので、関心のある方はご相談ください。
| 自己注射の注意点 | ☆C型肝炎のみで可能→B型肝炎では不可 | ☆従来のインターフェロン単独時のみ可能 →ペグインターフェロン/週1回の製剤(ペガシス、ペグイントロン)は不可 | ☆レベトール(リバビリン)併用は不可 | ☆2週間に1回は診察が必要 | ☆練習期間が必要 →慣れるまでスタッフと一緒に練習します。 副作用も含め治療に慣れてきたら自己注射可能になります。 |
インターフェロン療法の費用は? 他の薬に比べると1回の注射の薬価は上記の表に示すように高額です。上記の表の薬価は保険を使用する前の値段です。
実際にお支払いいただく治療費は薬価に保険の自己負担が3割なら0.3をかけた額が薬代としてご負担いただく金額になります。これに、診察料、検査料などが加わります。長期にわたる治療の必要性も増えてきており、医療費も高額となり、把握しておきたいことですよね。治療によっては高額医療返還制度という制度が使える場合もあるのでご相談ください。
C型肝炎ウィルスの型
| セロタイプ | ジェノタイプ | 日本人での割合 |
| 1 | 1a(I)
| ごくわずか | | 1b(II)
| 約70% | | 2 | 2a(III) | 約20% |
| 2b(IV) | 約10% |
ウィルスの型や量でインターフェロンの効きやすさも違ってきます。 治療開始前にはこれらの検査を必ず行い、治療に使用するインターフェロン、治療期間を決めます。
インターフェロンの効果 インターフェロン治療をすればすべての人が治るというわけではありません。その効果は体内にあるC型肝炎ウイルスの量が少ない(100KIU/ML以下)ほど高く、また、インターフェロンが効きやすいタイプのウイルス(上の表でセロタイプがグループ2)であればインターフェロンで治る確率は高くなります。
インターフェロンの治療効果は、治療中にGPTが下がる、ウイルス量が減少するなど、約70%の人に病状の改善が認められ、最終的にウイルスの排除に成功する人(C型肝炎が治る人)は約30%といわれています。
また、レベトールRを併用することでインターフェロン単独例に比べ、ウィルスの陰性化率が大きく高まります。
ここでウィルス学的な効果の判定の仕方を少しお勉強しましょう。
治療を始めるとまずウィルス量が消えた人(赤色と青色)と消えない人(黄緑色)に分かれます。更に治療中はウィルスが消えていた人(赤色と青色)の中でも治療が終わってしばらくするとウィルスが出てきてしまう人もいます(青色)。治療が終わって6ヶ月以上たってもウィルスが消えたままの人(赤色)を治癒(CR,S(V)R)といいます。効果のところで触れている数字はそれぞれのインターフェロン治療でここに入る割合のことをさします。
青色の人のように一度消えたのに治療を止めると出てきてしまった人は再燃(PR)といいます。このような方も多いので治療が終わったからといって病院に行かなくてもいいという考えは間違いです。主治医の指示に従い、定期的に通院してください。
黄緑色の人はインターフェロン無効(NR)といいます。 黄緑色や青色だった人もそのときに使用したインターフェロン治療に対しての効果です。また、違う種類のインターフェロンに変更したり、治療期間を長くすることで赤の人になることが可能となる場合があります。ここであきらめずに主治医とよく相談しましょう。また肝機能維持の目的の治療に変更する場合もあります。
どの色に入るかが治療前に予想できればいいのですが・・・。ウィルスの型と、量以外にも様々な因子がいわれているのですが、ウィルスの変異、患者さんの年齢、線維化(肝硬変にどのくらい近づいているか)の程度、などなどです。現在も日々研究されています。しかしどんなにききやすいといわれている場合でも100%治るということはなかなかありません。
治療前のウィルス量は治療効果を予測したり治療に使うインターフェロンを決める上では大事です。但しこのウィルス量をみる検査は月に1回しか認められていないので当院では基本的には治療中はプラス(ウィルスがいる)かマイナス(ウィルスがいない)かの判定のみ行なっています。これは実際の数字で見る定量という検査よりプラスかマイナスかの定性という検査が感度がいいためです。この感度とは測定限界です。定量では6は数字で出ますが4は測定限界以下となり5未満とひとくくりにされてしまいます。定性では2でも4でも400でも4000でもプラスという結果になるのです。検査方法をこのように使い分けて利用しています。ただ定性でもみつからないくらい少ないウィルスが体の中に残っていて、インターフェロン治療を終了するとそれが増えて検出限界を超えてプラスとして出てきてしまうことがあります。その場合青色の再燃になってしまうのです。
インターフェロン単独療法の効果(24週での成績・ウィルスの型、量別)
| | ウィルスの型(セロタイプ) |
| 1 | 2 |
ウィルス量 (KIU/ml) | 多い(100以上) | 7% | 39% |
| 少ない(100以下) | 39% | 64% |
1995年 旧厚生省研究班調査 より改変 インターフェロン・レベトール併用療法の効果(24週での成績・ウィルスの型、量別)
| | ウィルスの型(セロタイプ) |
| 1 | 2 |
ウィルス量 (KIU/ml) | 多い(100以上) | 15-20% | 60-80% |
| 少ない(100以下) | 60-70% | 70-90% |
慢性肝炎の治療ガイド より ペグIFN単独時の効果は?
現在、単独で使用できるのはペガシスのみです。
ペガシス製品情報パンフレットより 従来のIFN単独よりは効果が期待できます。ペグインターフェロン単独の場合、ウィルス量やウイルスの型によっては効きにくい場合もあります。
1型高ウイルス量に対するペグイントロン・レベトール併用療法対イントロンA・レベトール併用療法の効果(48週での成績・前治療効果別)
ペグイントロンインタビューフォーム、臨床薬理試験より
| | ペグイントロン・レベトール | イントロンA・レベトール |
| 初回 | 43-59%
| 47% |
| 再燃 | 60.5〜63% | 52% |
| 無効 | 19〜50%
| 19% |
現在ペガシスとリバビリン(商品名:コペガス予定)の併用も申請中です。現在のところ2006年末くらいには使用できるではないかという情報です。もう少し効果が高くなるかもということも言われています。
ペグイントロン・レベトール併用療法の適応範囲と効果(ウィルスの型、量別)ペグイントロンインタビューフォーム、臨床薬理試験より
初回 | ウィルスの型(セロタイプ) |
| 1 | 2 |
ウィルス量
(KIU/ml) | 多い(100以上) | 48週
43.1%(59/137) 59.0%(36/61) | 24週
90.3% (28/31) | 少ない(100以下) | 未適応 | 未適応 |
| 再治療 | ウィルスの型(セロタイプ) |
| 1 | 2 |
ウィルス量 (KIU/ml) | 多い(100以上) | 48週
60.5%(23/38) 50%(7/14) | 24週
83.3%(10/12) | | 少ない(100以下) | 24週
100%(1/1) | 24週
100%(1/1) |
ペグIFN用量別とIFNとのウィルス陰性化率の比較
| | ペグIFNα-2b
0.5 μg/kg | ペグIFNα-2b 1.0 μg/kg | ペグIFNα-2b
1. 5μg/kg | IFNα-2b 300万 |
48週終了後 ウィルス陰性率 | 33% | 41% | 49% | 24% |
投与終了24週後 ウィルス陰性率 | 18% | 25% | 23% | 12% |
各群300人前後 KL Lindsay, et al. Hepatology
(2001)より
IFN単独とIFNリバビリン併用とペグIFNリバビリン併用時との
ウィルス陰性化率の比較
| IFNα-2b 24週 | IFNα-2b
48週 | IFNα-2b 48週 | ペグIFNα-2b 48週 |
| リバビリン | なし | なし | あり | あり |
| 持続的なウィルス陰性率 | 6% | 16% |
41% | 54% | インターフェロンの副作用は? 初期症状(投与開始から2週間以内)
インフルエンザ様症状・・・坐薬や内服薬で多くの症状は緩和できます
| | IFNα | IFNβ | リバビリン併用時 |
| 発熱 | 50%以上 | 50%以上 | 50%以上 |
| 悪寒・戦慄 | 1%以下 | 10〜20% | 30〜50% |
| 倦怠感(だるさ) | 10〜20% | 20〜30% | 50%以上 |
| 頭痛 | 5〜10% | 20〜30% | 50%以上 |
| 関節痛 | 5〜10% | 10〜20% | 50%以上 |
| 筋肉痛 | 1〜5% | 1〜5% | 30〜50% |
中期症状(8週間まで)
| | IFNα | IFNβ | リバビリン併用時 |
| 食欲不振 | 10〜20% | 10〜20% | 50%以上 |
| 悪心・嘔吐 | 10〜20% | 10〜20% | 30〜50% |
| 下痢 | 1〜5% | 1%以下 | 20〜30% |
| 腹痛 | 1〜5% | 1%以下 | 30〜50% |
| 発熱 | 50%以上 | 50%以上 | 50%以上 |
| 口内炎 | 1〜5% | 1%以下 | 10〜20% |
| 発疹 | 1〜5% | 1%以下 | 50%以上 |
| 掻痒感 | 1〜20% | 1%以下 | 20〜30% |
| 不眠 | 1〜5% | 1%以下 | 30〜50% |
| うつ状態 | 1〜5% | 1%以下 | 5〜10% |
| めまい | 1%以下 | 1%以下 | 20〜30% |
後期症状(2ヶ月以降)
脱毛は、インターフェロンβよりインターフェロンαで多く、15〜40%ぐらいの頻度で起こっています。インターフェロンβでは1%ぐらいとなってます。リバビリン併用時には50%ぐらいの頻度となっています。ただし脱毛といっても目立たない場合も多いです。また、頻度的には少ない副作用ですが重要なものに間質性肺炎(から咳、息切れなど)、自己免疫異常などの副作用が起こる場合もあります。
検査値の異常
| | IFNα | IFNβ | リバビリン併用時 |
白血球減少 → 感染しやすくなる | 20%以上 | 5〜10% | 50%以上 |
血小板減少 → 血が止まりにくくなる | 20〜30% | 10〜20% | 50%以上 |
| 貧血 | 5〜10% | 1%以下 | 50%以上 |
| 蛋白尿 | 1〜5% | 10〜20% | 5〜10% |
インターフェロンα(IFNα)はIFNα-2bの5,554例およびレベトール併用療法との比較試験152例の資料をもとに掲載しました。インターフェロンβ(IFNβ)は1,582例の資料をもとに掲載しました。レベトール併用時はIFNα-2bとレベトールを併用した271例の資料をもとに掲載しました(各社・資料)。まったく別の調査結果をまとめて一つの表にしましたので、数字にはかなりばらつきがあります。大体の傾向を見てください。
上の表の全ての副作用が全ておこるわけではありませんし、おこってもだんだん慣れていくことが多いため、投与期間中におこった全ての症状が続くことはありません。気にならない程度の軽い症状も多く、症状がひどい場合でも様々な手段によって、症状が和らぐ場合もあります。
また、これらの調査はそれぞれ、対象となる基準・製剤・集計時期、調査した人数などが異なっています。そのため、インターフェロン単独時の副作用頻度が少なく、リバビリン併用の副作用の頻度が実際の数字以上に大きく感じられると思います。細かい数字の違いは、あまり気にせずに、だいたいの数字の傾向を見てください。様々な研究が行われているため、他の集計結果では違う数字になっている場合もあると思いますが、それぞれ間違いではありません。
インターフェロンとレベトール併用療法を受けられる場合には、 同時期に行われた、インターフェロンα-2b単独療法と比べて発生率が10%以上、上昇している副作用(発疹、掻痒感、白血球減少、貧血)を表中で赤字にしています。その他、鉄代謝障害、ビリルビン血症、高尿酸血症なども単独時よりも増えています。当院の患者さんでは、食欲不振などの消化器症状も増えている印象も受けます。
また、2002年9月に脳出血の副作用が報道されています。脳出血は血管がもろく弱くなることでおこる病態です。今回の報告では、高血圧や糖尿病の基礎疾患のある方にインターフェロンが投与され脳出血がおこったということでした(追加報告では、基礎疾患のない方でもおこっている例もあるようです)。しかし、レベトールとインターフェロンの副作用として報告されていますが、因果関係は現在のところ明らかになっていません。ただ、インターフェロンやレベトールの投与を受けることで血小板(血液を凝固させるはたらきのある血液成分)が減少し一旦出血すると血がとまりにくくなることはあり得ます。 ペグインターフェロンの副作用
発熱などの副作用は従来のインターフェロン(IFN)より頻度、程度ともに少なくなっています。逆に、血小板減少や白血球(特に好中球)減少の副作用がおこりやすくなっているので、IFNの注射をし始めて2週間は入院または週2回以上の採血が必要になります。その後も注射前に採血を行い副作用の程度を確認してからIFN注射を行うことになります。
また、注射後はもまないでください。(IFNの吸収などが変わる可能性があります) ペグイントロンとレベトール対従来のイントロンAとレベトールの副作用を比較して、差が大きかった代表的なものを下の表にしています。この差はペグインターフェロンと従来のインターフェロンとの違いとイメージしてください。
血小板減少はこのときの調査ではペグイントロンでの発生率が低くなっていますが、ペガシスの場合は多くなっているので、ペグインターフェロンで起こりやすい副作用といえるでしょう。この表以外の副作用には大きな違いは見られていません。
インターフェロンの副作用のイメージ図を載せています。
従来からのインターフェロン、レベトール、ペグインターフェロンに特徴的な副作用をそれぞれの円で囲っています。それぞれの円が重なっているところは特に起こりやすくなっている副作用です。
インターフェロンとレベトールの併用療法を受ける場合の副作用は、一般的なインターフェロンの副作用に更にレベトールの副作用が加わる形になります。発熱、倦怠感などのはインターフェロン単独のときと同じように起こり、単独でもかゆみなどは起こりますがレベトールを併用することで更に起こりやすくなり、レベトール独特の催奇形性ということも加わります。
以前より、インターフェロンなどを投与されている場合には、副作用の早期発見のために定期的な検査を行っています。ただし、検査では見つけられない副作用もありますので、患者さん自身でもふだんと違う症状などは早めに主治医にお知らせください。
副作用について知っておいていただきたいこと インターフェロンなどに限らず、新しく承認された薬はその効果の再評価とともに、その薬が投与されている間におこった副作用や関係が疑われる副作用などを報告していく制度(市販後調査(PMS):市販後の安全性と有効性の調査)があります。今回の脳出血の報道はこの制度に基づく報告を受けて行われたものです。現在はリバビリン投与期間中の脳出血の副作用は一般的におこる脳出血の発生頻度とかわらないともいわれていますが、今後の報告次第ではかわってくる可能性もあります。また、新しい副作用も報告される可能性もあります。これらに対して必要以上に恐れたりする必要はありませんが、疑問がある点は主治医に常に聞き、安心して治療を続けていくことが大切だと思います。
これらの表には起こる可能性の高いものをのせてますので、これら以外の副作用が起こる可能性もあります。そのため、インターフェロン療法を受けられている方は、普段と異なる症状などがありましたら、早めにかかりつけの医師などにお伝えください。
副作用がひどい場合には、中止や減量も行います。中止・減量の理由は、患者さんそれぞれの自覚症状による場合と、Hb値、白血球数、血小板数の低下などによる検査値の異常による場合とがあります。いずれの場合も、減量などで副作用が軽くなったり、製剤変更などで、継続できる場合もあります。また、今までは再投与に制限があったので、中止すると再開しにくい場合もありましたが、現在は制限がなくなったため、再開も可能です。
このようにさらに新しい薬も承認されましたが、より副作用の少ない、より効果の高い薬剤の開発が望まれます。現在のインターフェロン治療では、ほとんどの方に何らかの副作用がおこっています。そのため、インターフェロンの治療によって生じる副作用、また、治療の効果をよく知っていただいた上で、うまく副作用をコントロールして決められた期間の治療を続けていただけることを願っています。そして、これらの情報が少しでも皆様のお役に立てればと祈っています。
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