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■急性肝炎

肝臓に急に炎症が生じた状態をいいます。
発病時は、全身倦怠感、吐気、嘔吐、食欲不振の症状があります。(身体がだるい。食欲がない。むかむかするなど)
1〜2週間すると、血液中のビリルビンという胆汁色素が増加し、皮膚や眼の白い部分が黄色く(黄疸)なり、血液検査で肝機能をみる検査値(GPT、GOTなど)が高値になります。特に急性肝炎では、皮膚が黄色くなる前に尿が濃い褐色になります。
A型、B型、C型などの肝炎ウイルス感染や、薬物アレルギーによる肝障害、肝炎ウイルス以外のウイルス感染などが主な原因です。
多くは原因が無くなれば(原因となっている薬を止める、免疫反応で抗体ができるなど)自然に治りますが、ウイルスによっては、慢性化するものもあります。
原因を明らかにし、早期に適切な治療を行うことが大切です。

■劇症肝炎(急性の肝不全)

肝臓の細胞が広い範囲で障害され、肝臓の機能が極端に低下して腎障害、意識障害、出血傾向が出現して、死に至ることがある状態です。あらゆる治療を行っても救命できるのは30%以下といわれています。
ウイルス性肝炎のうち、A型肝炎で稀にみられ(0.5%)、B型肝炎では、1%に劇症化がみられます。C型急性肝炎は劇症化することはとても稀です。ウイルス性肝炎以外に、薬剤性肝障害でも、劇症化がみられます。

■慢性肝炎

急性肝炎を発病して6ヵ月以上経過しても、肝機能が異常であり組織学的(肝生検で組織を採取し顕微鏡で観察)炎症が持続している状態をいいます。
慢性肝炎は、持続性感染で一旦は肝炎が治ったかのようにみえる休止期はあるけれど、実際はじわじわと病気が進行してきた状態をいいます。
主に、B型やC型肝炎ウイルスの持続感染による慢性肝障害をいいますが、自己免疫性肝炎や一部の薬剤性肝障害なども含まれます。
原因によって治療法が異なりますので、何が原因で肝炎が起こっているのかを見極めるのはとても重要なことです。

■肝硬変

日本には、約30万人の肝硬変患者さまがいると推定されています。
肝臓は、中心静脈という静脈を中心に肝細胞がきちんと放射状に配列した小葉(肝細胞の集まり)が、無数に集まってできています。さまざまな原因で肝細胞が壊れたり再生したりを繰り返して小葉の周りを線維が取り囲んだ状態になると、規則正しい配列が乱れ肝臓は、凸凹のごつごつした状態になります。この状態が肝硬変です。肝硬変の大半は肝炎ウイルス(B型、C型)の持続感染や大量のアルコール摂取を長年続けた結果起こるもので、若い人よりも熟年の人に多いようです。
欧米では、アルコール性の肝硬変が多いのですが、日本では肝炎ウイルスを原因とする肝硬変が多いのが特徴です。

肝硬変は肝機能の面から、肝機能がよく保たれている代償性(だいしょうせい)肝硬変と黄疸、腹水、体のむくみ(浮腫)、意識レベルの低下(肝性脳症)、食道や胃からの出血などの症状が見られる非代償性肝硬変に分けることができます。
肝硬変の重症度を判定するのに、「Child‐Pugh分類」(チャイルド・ピュー分類)をよく用います。

これは、チャイルドとピューの2人の研究者が考案した分類法で、血清ビリルビン、アルブミン、腹水の有無、肝性脳症の有無、プロトロンビン時間(肝臓でつくられる血液を固める作用をもつたんぱく質の検査)の5項目から肝臓の障害度を評価するものです。

 

1点
2点
3点
肝性脳症なし軽度時々昏睡あり
腹水なし少量中等量
血清ビリルビン(mg/dl)2.0未満2.0〜3.03.0超
血清アルブミン(g/dl) 3.5超2.8〜3.5 2.8未満
プロトロンビン時間(%)70超40〜70 40未満
Child-Pugh分類A  5〜6点
B  7〜9点
C  10〜15点

各項目のポイントを合計しその合計点で分類します。

 

Child Cは、非代償性肝硬変そのものであり、肝細胞がんや食道静脈瘤などの手術や、積極的な治療は難しいとされています。
肝硬変の三大死亡原因は肝不全、食道静脈瘤の出血、肝細胞がんですが、アンモニアやアミノ酸の異常に対する治療、内視鏡による食道静脈瘤の治療の進歩などにより、肝不全、食道静脈瘤出血による死亡は減少しており、肝細胞がんによる死亡がもっとも多くなっています。

■肝腫瘍

<良性>

もっとも頻度が高いのは、肝血管腫です。海綿状血管腫は、性差のない成人の腫瘍で、人間ドックなどで偶然に発見されることが多く、通常は全く無症状です。
背景の肝臓は正常で、組織学的には、内腔が拡張した多数の血管が増殖してできた固まりです。
腫瘍ではありませんが、肝臓にできた袋のなかに水分が溜まってできる肝嚢胞(かんのうほう)も、腹部超音波検査などでみつかることがあります。ほとんどは治療の対象ではありませんが、嚢胞が大きくなって周りの臓器を圧迫するようになった場合や、嚢胞内で感染が起こったときなどは、治療の対象になります。
寄生虫の感染が原因でできる場合もあります。
その他に、結節性過形成、腺腫、脂肪腫、過誤腫などさまざまな病気があります。
超音波検査やCTなどの画像診断だけでは、悪性のものと鑑別に苦慮する場合もあります。

<悪性>

もっとも頻度が高いのは肝細胞がんで、胆管細胞癌、悪性リンパ腫、肉腫などがあります。
日本では、肝炎ウイルス持続感染者に発症することが多く、特にC型肝炎由来の肝がんが8割を占めています。
アルコール性肝硬変や非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)からの肝がん発症も報告されています。
血液検査(腫瘍マーカー:AFP、PIVKAUなど)だけを定期的に行っていても、肝がんを早期に発見することはできません。
B型、C型慢性肝疾患の方、特にC型慢性肝疾患の方は、少なくとも6ヵ月に1度(できれば3ヶ月に1度)定期的に、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査を受け早期に肝がんをみつけることが重要です。

 

日本肝癌研究会のホームページでは、肝がんに関する一般知識を公開しています。
http://www.gakkai.net/kangan/

参考図書
Bed Sideノートシリーズ 肝炎 現代医療社 小俣政男著
患者さんと医師のための肝臓病 最新の診断と治療 銀海舎 岡上武著
細胞からみる 肝臓病ことはじめ 文光堂 内田俊和著
専門のお医者さんが語るQ&A 肝臓の病気 保健同人社 大内清昭著

 

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