
腹部超音波検査(US)
超音波検査とは私たちには聴き取れない高い周波数の音波を用い検査する。
プローブ(探触子)から発信された超音波が、生体内で反射されて元のプローブに受信される状態を電気的に処理して構成した画像(魚群探知機なども同じ原理)によって、臓器の様子をみる検査である。
強く反射する(結石やポリープなど)部分を高エコー信号・弱く反射する(血管・胆汁など)部分を低エコー信号として画像処理し映像化する。
肝臓の実質臓器は、健常人であれば均一な構造(スペックルパターン)として画面上に映る。
USの特徴
- 非侵襲的である。(身体を傷つけない)
- 機械の移動ができるので、移動のできない方や緊急性を要する場合などには有効である。
- 簡便で繰り返し行えるので、肝疾患の検査には有効である。
- 短時間に多くの臓器を観察することができる。
検査時の注意点
食後は、消化管ガスや胃内容物の影響で臓器の可視範囲が狭くなったり、胆嚢が萎縮してみえなくなったりするので、検査は絶食で行う。
画像
超音波検査による画像では、肝臓は本来は黒っぽく見えるが、脂肪が溜まっていると白っぽくみえるようになる。
| 典型的な脂肪肝の画像 |
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肝臓(白く)と腎臓(黒く)のコントラストがはっきりしている。白いということは肝臓に多く脂肪が蓄積されているという証拠です。 |
CT(Computed Tomography)
当院には、ヘリカルCT(高速らせん型CT)装置が設置されています。
このヘリカルCTとは、一回の呼吸停止下で広範囲の検査ができ、検査時間が極めて短く、長い時間静止することが不可能な小児や緊急を要する検査にも適していると言えます。
また、ヘリカルCTは検査によって得られるデータが1つ1つの細切れではなく、連続しているので、従来の横断面(輪切り)の情報に加え、情報をつなぎ合わせることにより、いろいろな断面の画像や三次元画像を作成することができ、見たい所をあらゆる角度から観察することが可能となりました。
しかも、小さな病変の検出に優れているという利点も持っています。
このように、ヘリカルCTは短時間で客観性の高い検査を可能にしました。
単純X線CT(Plain CT)
X線(レントゲン線)を使用して、身体の断面を撮影する検査。X線は物質に吸収され、減弱します(弱くなる)。
この物質の吸収差を利用して、肝臓をはじめ膵臓・胆のう・脾臓等、多くの臓器の情報が得られます。
物質のX線吸収が高いもの(代表的なものとして骨)は白く、低いもの(代表的なものとして空気)は黒くなります。
(ただし、これにあてはまらない場合もあります。)
造影X線CT(Contrast Enhancement CT:CECT)
造影剤という薬を使用して、単純CTだけではわかりにくい症例や、腫瘍等の検索や性状、治療後の効果などを見る場合にする検査。
一般的に腕の静脈内に造影剤を注入しながら行います。造影剤のX線吸収は水より高いので、写真上白く写ります。
右の画像が造影CTです。単純CTに比べ、血流が豊富な臓器である脾臓(画面右おにぎり型の部分) や血管などは、造影剤によって白くなっています。
CTA・CTAP
CTA・CTAPは腫瘍に対する検出能の最も高い検査のひとつです。
治療法の選択や治療成績などを考える場合、早期発見におけるCTA・CTAPの役割は非常に重要になっています。
当院では1989年以来、20年の経験をもとに年間約70例のCTA・CTAPを撮影しています。
正常の肝臓は「動脈」と「門脈」という2種類の血流で支配されています。
通常、肝臓は20から30%が動脈、残りの70から80%は門脈の血流が優位です。それに対し、肝細胞から発生する古典的肝癌は、門脈の血流がほとんどなく、ほぼ100%肝動脈で支配されています。
- CTA:肝動脈造影下CT
通常、総肝動脈(肝臓の血管のひとつ)にカテーテルを留置し、造影剤を注入しながら撮影するCT検査です。
- CTAP:経動脈的門脈造影下CT
上腸間膜動脈(腸管にいく血管のひとつ)から造影剤を注入し、造影剤が門脈から肝臓に流入する時間にあわせて撮影するCT検査です。
CTAでは動脈の、CTAPでは門脈の血流動態がわかります。
古典的肝癌はほぼ100%肝動脈支配であることから、
CTAで、肝実質よりよく染まり(画面では白く写り)、
CTAPでは造影剤がほとんど入らず、画面上黒く写ることになります。
このことを利用して、CT画像上で肝実質と腫瘍との鑑別が可能となり、腫瘍の有無とおおまかな性状を知ることができます。
実際に古典的肝癌の症例をCTA・CTAPの画像で説明します。
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| 1.CTA全体像 |
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2.CTA拡大像 |
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| 3.CTAP全体像 |
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4.CTAP拡大像
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まず、CTA(1.2.)では、動脈優位の撮影です。
肝動脈を主要血管としている腫瘍部(黄色の点線で囲まれた部分)が造影剤でよく染まっている(白くなっている)のがわかります。
肝実質は僅かに染まっています。
次に、CTAP(3.4.)ですが、門脈優位での撮影なので肝実質がよく染まり(白くなり)、腫瘍部(→)には造影剤が入っていないために、黒く抜けた写真になっています。
このように、腫瘍とそのまわりの肝実質を比較することで、肝臓内の腫瘍が検出できます。
CTA・CTAPは画像診断上、腫瘍部の検出能力の高い検査ですが、全ての腫瘍を検出できるわけではありません。
他の検査(MRI・USなど)と組み合わせ、血液データ・患者さんの背景などを考慮した上で、最終的に放射線科医により診断されます。
※CTA・CTAPは腹部血管造影検査に併用して行いますので、一般のCT検査と違い入院が必要となります。
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