
◇慢性肝炎
〈食事療法〉
| 1 | 特に細かい制限はなく、極端な低脂質、高たんぱく食にする必要はない。肝臓の炎症はあるものの肝全体の機能は健常人と変わらないので、バランスの取れた食事を規則正しく摂る。 |
| 2 | 日常の生活活動量に見合ったエネルギー量を設定する。糖尿病を合併している場合はエネルギー制限を行う。 |
| 3 | ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しないよう新鮮な野菜類、果物類、海藻類などを摂取する。 |
〈食品の選択と注意〉 ・ 症状が安定しているときは、特に不適切な食品として制限するものはなく常食と同様でよい。
| 適した食品 | 米飯、めん類、いも類、果物類、肉・魚類(極端に脂肪の多いものは避ける)、卵類、乳製品、大豆製品、野菜類 |
〈調理上の注意〉 ・ インターフェロン療法によって食欲のないときは、外観、嗜好、味付けなどに十分注意する。
| 適した料理 | 炊き込みご飯、鍋焼きうどん、サンドイッチ、湯豆腐、すき焼き、プリン、ババロア、カステラなど |
〈鉄分制限の必要性〉 近年、C型慢性肝炎、NASH、アルコール性肝障害の患者様において、肝臓に過剰な鉄が蓄積し、肝機能を障害するという報告、また鉄分の多い食品を控えることで肝機能が改善するという報告が出されています。
昔から肝臓にいいと言われてきたしじみ・レバー等には鉄分が多く含まれ、近年では逆に控えるように勧められています。
<鉄分制限のポイント> ・一番の基本は、バランスのよい食事
・鉄分が多い食品は控える ・お茶には鉄分の吸収を邪魔する作用があります。食事と一緒に飲みましょう。 ・果物のビタミンCは鉄分の吸収を助けます。食事とは分けて摂りましょう。
・鉄製の調理器具の使用を控えましょう。 ・もとから貧血気味の方、薬の影響で貧血の方は無理な鉄制限は控えましょう。
<食品の鉄含有量> ・乳類は鉄量が少なく、良質の蛋白質・カルシウム源です。毎日積極的に取りましょう。
・卵は卵黄に鉄分が多く、卵白には少ないのが特徴です。一日半分を目安にしましょう。 ・魚、肉類は赤身・内臓部分に鉄分が多いです。白身魚、いか、たこ、えび、鶏肉を主に使用するとよいでしょう。
・豆類は基本的に鉄量が多いので注意しましょう。 ・野菜では青菜類に多いですが、通常の摂取量なら特に気にしなくてもよいでしょう。
・パンやうどんなどの小麦粉製品よりも、米飯、特に精白米の鉄分は少なくなっています。
・調味料ではカレールー、しょうゆ、味噌の鉄分が多くなっています。 ・あんを使った和菓子や、チョコレート菓子は鉄量が多いので気をつけましょう。
・健康食品と言われているものには鉄の多く含まれているものが目立ちます。注意しましょう。

◇肝硬変 〈食事療法〉
| 代償期: | 慢性肝炎に準じるが、肝臓の侵された部分のはたらきが他の部分で代償されているので、十分な栄養を摂ることが大切である。 |
| 非代償期: | 血漿アミノ酸不均衡、低アルブミン血症、耐糖能異常、高インスリン血症など種々の栄養代謝異常を生じるので、それぞれに応じた食事療法を選択する。 |
| 1
エネルギー: | 耐糖能異常があり血糖が上昇している場合は少なめにする。 |
| 2 たんぱく質: | 高アンモニア血症、肝性脳症がある場合は食事からのたんぱく質を制限し、アミノ酸インバランス防止のため分岐鎖アミノ酸製剤(アミノレバンENなど)で補う。 |
| 3 脂質: | 脂肪酸代謝にも異常をきたしてn−6系、n−3系の多価不飽和脂肪酸の欠乏状態にあるので、これらを多く含むシソ油、菜種油などの植物性油脂や、DHA、EPAを多く含む魚介類を摂る。 |
| 4 食塩: | 浮腫、腹水のあるときは1日5〜7g以下に制限する。 |
5 食物繊維
乳酸菌: |
腸内での腐敗菌によるアンモニア産生を防ぎ、血中アンモニアを増やさないよう便秘を防止するため十分に摂る。 |
〈食品の選択と注意〉 ・ 良質のたんぱく質を含む食品を選ぶ。 ・ 食塩を添加した加工品は控える。
・ 食物繊維が多く含まれるものを選ぶ。
・ 食道静脈瘤がある場合は硬いもの、角のあるもの、飲み込みにくいものは避ける。
| 適した食品 | いも類、野菜類、海藻類、果物類、乳製品、肉類、魚類、卵、大豆、大豆製品など |
| 適さない食品 | 食道静脈瘤がある場合・・小骨のある魚、せんべい、干物、ピーナッツ、いか、こんにゃくなど |
〈調理上の注意〉 ・ 食欲が低下している場合は香辛料を適量使用するなど食欲が出る工夫をする。
・ 便秘予防のため食物繊維を多く摂取できる献立、野菜類を取り入れた献立を工夫する。
・ 食塩を制限するため香辛料や香味野菜を取り入れる。 ・
食道静脈瘤がある場合は逆に香辛料などの刺激物は避け、軟らかく調理する。
| 適した料理 | めん類、すし、湯豆腐、軟らかい果物類、ポタージュ、バニラアイスクリーム、ヨーグルト、茶碗蒸しなど |

献立 提供:大塚製薬株式会社
◇脂肪肝 〈食事療法〉 過栄養性脂肪肝:摂取エネルギーを制限するが,肝機能が障害されていることが多いのでたんぱく質、ビタミン、ミネラルは十分摂り、糖質やアルコールは制限する。
アルコール性脂肪肝:たんぱく質、脂質、ビタミンやアルコール以外からのエネルギーが不足していたり、偏っている場合が多いので禁酒、節酒と同時に各栄養素の過不足がないようバランスのとれた食生活に改善する。 〈食品の選択と注意〉
・ 脂肪の少ない良質のたんぱく質を含んだ食品を選ぶ。 ・ エネルギーの高い食品(甘い菓子、油の多い食品など)は避ける。 ・ 脂肪は植物性油脂や魚油から摂り、脂肪の多い肉類は避ける。
・ アルコール類は禁止、又は制限する。
| 適した食品 | 野菜類、海藻類、きのこ類、脂身の少ない肉類、魚類、低脂肪の牛乳・乳製品、大豆、大豆製品、植物油など |
| 適さない食品 | 菓子、ジュース、動物性油脂(バター、ラード、ヘッド、脂身の多い牛肉や豚肉)、揚げ物など |
〈調理上の注意〉 ・ 摂取エネルギーの制限に伴って食事量が減るので、ボリューム感や満腹感の出るような献立を工夫する。(汁物やこんにゃく、きのこなどの低エネルギー食品を使用する。)
・ 調理に使う油は植物油にし、バターやラードなどの動物性油脂は使わない。 ・ ノンオイルドレッシングや低カロリーマヨネーズなどの特殊食品を取り入れる。
| 適した料理 | こんにゃくの田楽、豆腐ステーキ、酢の物、和え物、お浸しなど |
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